2012年10月1日月曜日

浅山美由紀展:BORDER 〜永遠に変わらないものはない〜





この土曜日は京都・西陣の空まめさんでKAKi作品の入れ替えをし、心のこもったおばんざいとおもてなしで心身ともに養われた。


その後、ワクワクしながら大阪に出向き、関西ではわりと名の知れたアーティスト・浅山美由紀氏の久々の個展『BORDER ~永遠に変わらないものはない~』を観た。これまでインスタレーションやオブジェが中心だった氏の、初のオール平面作品展となる。

BORDER、すなわち「境界」。この言葉をどう解釈するかは観る側の自由だが、もともと細胞などの有機的モチーフの目立つ浅山作品にあって、今回もまず浮かんだのが「細胞壁」としての境界線だった。内外の圧の違いに乗じて必要な物質を取り込み、増殖・拡大し、不要なものは排出する。

この境界線が、東北大震災によって、そして自身の最近の治療体験によって、揺らぎ始めたと浅山氏は語る。



     浅山氏のアーティストトークの様子
 


たしかに、細胞のような細かいドットは、線の内外にうごめきながら分布している。細胞壁同様、境界線には目に見えない小さな穴が無数に開いていて、有機的交換(交流)がなされているようだ。いや、あるいは最初から、内外などという境界はあいまいでしかなかったのか。

もうひとつ感じたキーワードがある。それは「自己治癒(セルフ・セラピー)」。脳血管障害や精神疾患のためのリハビリテーション・アプローチとして、点描や貼り絵などの繰り返し作業が用いられることが多いが、今回作品群に描かれた無数のドットに、大病を患った氏の自己治癒プロセスを垣間見た思いがした。このような形で提示されたプロセスは、特に自己治癒を必要とする者にとって、感覚レベルで理解できる一つの道標となる(たとえば草間彌生が先駆けて実践しているように)。

ドットが描き入れられなかった余白部分は、波にもまれ、潮に浄化されて、白く強くなった貝がらを思わせた。
 

大阪・天満橋のあーとスペース夢玄にて、10月7日(日)まで開催中↓


 

浅山美由紀ブログ:  
http://www.eonet.ne.jp/~blcart/diary/diary.htm